OmegaT 4.2 - 取扱説明書

ウィンドウ

メインウィンドウは、いくつかのウィンドウ、メインメニュー、ステータスバーからなります。ウィンドウの名称部分をドラッグすると、表示位置を変更したり、独立したウィンドウとして表示させることができます。各ウィンドウの右上角には、その表示状態によって異なる、以下のようなボタンが表示されます。

注記

本来、開いていたり最小化していたりするはずのウィンドウが見当たらない場合は、[設定]→[ウィンドウを初期値に復元]を選んでください。ウィンドウの配置をインストール直後の状態に復元します。

表2 ウィンドウ表示アイコン
ウィンドウを最小化します。そのウィンドウの名称だけが、メインウィンドウの底部に表示されます。
ウィンドウを最大化します。
ウィンドウを最大化される前の状態に戻します。
ウィンドウをメインウィンドウから切り離して、独立したウィンドウとして表示します。
ウィンドウを、独立したウィンドウから、メインウィンドウ内の子ウィンドウ表示に戻します。

ウィンドウは重ねて表示させることもできます。この場合、ウィンドウの上部にタブが表示されます。ウィンドウ間のセパレーターをドラッグすると、ウィンドウの大きさを変更できます。ウィンドウの配置を変更しているうちに収拾がつかなくなった場合は、[設定]→[ウィンドウを初期値に復元]を選んでください。ウィンドウの配置がインストール直後の状態に復元されます。

各種ウィンドウにファイルをドラッグ&ドロップすることができ、その際の応答はウィンドウによって異なります。

  • 編集ウィンドウ:OmegaT プロジェクトファイル(omegat.project)をこのウィンドウにドロップすると、対応するプロジェクトが開き、それまで開いていたプロジェクトがあればそのプロジェクトが閉じます。その他のファイルをドロップすると、そのファイルが source フォルダーにコピーされます。翻訳対象ファイル一覧ウィンドウの場合も同じように応答します。

  • 参考訳文ウィンドウ:.tmx ファイルをこのウィンドウにドロップすると、そのファイルが tm フォルダーにコピーされます。

  • 用語集ウィンドウ:用語集として既知の拡張子(.txt.tabなど)を持つファイルをこのウィンドウにドロップすると、そのファイルが用語集フォルダにコピーされます。

編集

翻訳内容を入力、編集する場所です。編集ウィンドウには、部分的に翻訳されたテキストが表示されます。つまり、翻訳済みのテキストは訳文言語で表示され、未翻訳のテキストは原文言語で表示されます。テキストは分節の集まりとして分割表示され、スクロールで文書内を移動でき、どの分節でもダブルクリックすることで編集できます。上記の例では、翻訳済みの分節が黄色でハイライト表示されています([表示]→[翻訳済み分節を色づけ]を有効に設定しているため)。

その分節のうちの1つは、現在分節です。現在分節を見ると、2つの部分から構成されていることが分かります。上側には原文が緑色背景の太字で表示されます。下側が翻訳入力行で、最後は分節番号です。分節番号は <分節 nnnn> の形式で表示され、「nnnn」はプロジェクト中における分節の番号を表しています。上側の原文を参照しながら、下側の翻訳入力行の内容を修正または上書きし翻訳を進めてください。

注意:繰り返しのある分節の分節番号は、<分節 nnnn 他yy分節> のように表示されます。ここで yy は、同じプロジェクト内にあるその他の繰り返しのある分節の数を示します。

翻訳入力行の設定により、未翻訳の分節の編集領域は、空欄になっているか、原文と同じテキスト、または最も一致率の高い参考訳文が入った状態になります。別の分節に移ると、入力した訳文が確定され、翻訳メモリに蓄積されます。その分節の訳文を原文と同じにしたいときは、編集領域のテキストを削除して空欄にしておいてください( [Ctrl+A] で全選択して [Del] で削除します。OmegaT では、生成される訳文が原文と同じということになります。これは商標や固有名詞、第3の言語の一部など、翻訳の必要がない部分を残しておきたいときに便利です。詳細は、「 翻訳入力行の設定 」を参照してください。

編集ウィンドウ上で右クリックした場合はポップアップメニューが開き、 [切り取り、[コピー]、[貼り付け] (ショートカットの [ Ctrl + X ]、[ Ctrl + C ]、[ Ctrl + V ]と同じ)、 [分節へ移動] および [用語の追加] コマンドを利用できます。また、開かれた分節を右クリックすると、 例外訳文 に関するその他のオプションが提示され、例えば、別の繰り返しのある分節に移動することができます。

メインウィンドウ内の任意の場所からテキストをドラッグして、分節内にドロップすることができます。訳文分節以外からドラッグしたテキストはコピーされ、訳文分節内からドラッグしたテキストは移動します。

デフォルトでは、マウスではなくキーボードを使用してソースセグメント内の単語を選択することはできません。 [F2] キーを押すと、キーボードの矢印を使用して、カーソルを原文分節(またはエディタ内の任意の場所)に移動できます。このモードでは、ペインの下部に「カーソルロック解除」と表示されます。標準モード"カーソルロック"に戻るには、もう一度 F2 を押します。

参考訳文

参考訳文ウィンドウは、翻訳メモリの中から最も一致率の高い分節を表示します。検索対象となるのは、そのプロジェクトの翻訳中にリアルタイムで蓄積されていく内部翻訳メモリはもちろん、過去の翻訳作業で使用したものや、顧客や翻訳会社から受け取ったものをインポートして使用することもできます。

次の分節に移動すると、最初の参考訳文(最も一致率の高いもの)が自動的に選択されます。ここで[Ctrl]+[2]、[3]、[4]、または[5]を押して、別の参考訳文を選択することもできます。もちろん、5番目の参考訳文が存在しないときに、 Ctrl + 5 を押しても何も起こりません。選択した(太字で表示された)参考訳文を、現在編集中の訳文と置換して使用するにはCtrl+R を押します。現在のカーソル位置に挿入する場合は[Ctrl+I]を押します。

3つの一致パーセンテージは、次の順序になります。

  • ステミングで計算されたパーセンテージ [1] タグと番号を無視する(一般的に最も高い)

  • 語形変化を伴わず、タグと数字を無視して計算されたパーセンテージ(一般にわずかに低い)

  • タグと数字を含む全文で計算されたパーセンテージ(通常は最低)

3つのパーセンテージのソート順は変更できますが、ファジーマッチの選択に使用されるソート順は変更できません。

選択された状態の参考訳文は太字で表示されます。翻訳しようとしている分節に存在しない単語は青字で、それに隣接する単語は緑字で表示されます。上記の例では、「 Context menu command 」が原文分節です。先頭の参考訳文は、一致率 100% です。すべての単語が一致しています。続く2つの参考訳文も同じ一致率ですが、4番目は似て非なるものです。一致率を表示している行には他にも、その参考訳文を収録している翻訳メモリの名前が表示されます。ファイル名が付記されていないものは、プロジェクトの内部翻訳メモリからの表示です。孤立した分節(上図での2番目の参考訳文)とは、そのプロジェクトの翻訳メモリ中に存在するが、原文の分節とは一致しなくなった分節を指します。

用語集

用語集ウィンドウには、用語集ファイルにあらかじめ蓄積した、表現や専門用語の対訳を表示できます。現在の分節中に見つかった用語を表示します。下図の原文は「 Context menu command 」ですが、そこに見つかった用語を用語集から表示しています。

用語ヒントを有効化している場合([設定]→[用語ヒント])は、原文分節中の下線が引かれた用語の上で右クリックすると、ポップアップメニューにその対訳が表示されます。対訳を選択すると、現在の翻訳入力行のカーソル位置に挿入されます。また、用語集ウィンドウから任意のテキストを選択して、選択領域を右クリックしても、同じように挿入できます。

辞書

辞書は、印刷物の辞書の電子版です。Merriam Webster、Duden、Larousse などの卓上にある辞書と同じ用途です。詳しくは「辞書」の章を参照してください。

機械翻訳

機械翻訳ウィンドウには、現在の分節に対応した機械翻訳による翻訳内容を自動的に表示できます。[Ctrl+M]を押すと、現在の分節のうち選択された部分を、機械翻訳に置換します。

複数訳文

同じ内容の原文分節が複数存在し、それぞれの文脈に応じて異なる対訳が必要になることがあります。もし現在の翻訳がしっくりこない場合は、[編集]→[例外訳文を登録]コマンド(訳注:OmegaT 3.5.2 アップデート 1 以前では[新しい訳文を登録])を選んでください。その後に入力した訳文は、「例外訳文」として扱われます。同じ内容の他の原文に対する既存の訳文には影響しません。また、「例外訳文」のうちの(もっとも普遍的な)1つを、既定値に設定することもできます。この場合は、[編集]→[基本訳文として使用](訳注:OmegaT 3.5.2 アップデート 1 以前では[既定値訳文として使用])を選んでください。

メモ

翻訳者は現在の分節にメモを添付することができます。後で現在の分節に戻って翻訳しなおしたい場合や、複数訳文の他の値を確認してまわる場合、同僚に意見を聞きたい場合などに使います。メモを見るには、[移動]→[次のメモ][移動]→[前のメモ]を使います。

コメント

ファイルの中には、翻訳作業向けに特化した形式があります。たとえば PO ファイルは、翻訳者向けのコメント情報を格納できます。これによって翻訳者は、翻訳する分節に関する文脈を知ることができます。下記の例では、翻訳者向けに書かれた、訳文の文字数制限に関する注意事項を、コメントウィンドウに表示しています。

ステータスバー

メインウィンドウの底部にあるステータスバーには、実行中の処理についてのメッセージが表示されます。現在行われている処理の状態や結果などのフィードバックを知ることができます。現在の分節に対し、参考訳文の一致数と、用語集の用語との一致数も表示されます。

メインウィンドウの右下角には、翻訳の進捗を表示します(下表左列の数字は、上図を参照しています):

表3 メインウィンドウ - 進捗
27/27 現在のファイルの分節数:翻訳済み / すべて
9319/16338 繰り返しを除いたプロジェクトの分節数:翻訳済み / すべて
31175 プロジェクトの分節数(繰り返しを含む)
103/114 現在分節の文字数:原文 / 訳文

実用上の観点から言えば、最も重要な数値は2番目のペアです。これは翻訳がどこまで進んでいるかを示すもので、プロジェクトの分節数と関係しています。例示されたプロジェクトは、繰り返しを除いたプロジェクトの分節がすべて翻訳済みになっていることから明らかなように、翻訳が完了していることが分かります。